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そらち★ヤマの記憶だより

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《炭鉄港》を訪ねて①−薩摩・仙巌園

2018/11/18 [Sun]17:33
category: 炭鉄港−北の近代三都物語
りじちょーの吉岡です。
11月4日に赤平で開催した「食のTANtanまつり」で、今年の屋外での大型催事はひとまず終わりです。
これから北海道は急ピッチで冬支度をする時期になりますが、そのようなストーブリーグにこそ、じっくりとご紹介したいことがあります。
それは…《炭鉄港》
空知の炭鉱、室蘭の鉄鋼、小樽・室蘭の港湾、そしてこれら三都を結んだ炭鉱鉄道。かつて日本と北海道の近代化を牽引し、今日の豊かな社会を築くために懸命に走り抜けた《炭鉄港》のストーリーが、いま、あちこちで注目されはじめています。
その《炭鉄港》の証しとも言える、各地に残る産業遺産を、シリーズでお伝えして参ります。


その記念すべき第1回は、北海道ではなく九州鹿児島からのスタートです。


1851(嘉永4)年、薩摩藩主に就任した島津斉彬(1809-1858)は、西欧列強から植民地化されないためには、日本を強く豊かな国にしなければならないと考えていました。
そこで斉彬は、富国強兵・殖産興業政策を推進するために、島津家の大名庭園である「仙巌園」で「集成館事業」を開始します。
これは、日本初の近代工場群で、大砲鋳造のための製鉄や造船を核としながら、ガラス、紡績、電信など様々な産業の育成に挑戦しました。
「集成館事業」は、軍需だけではなく民需にも目配りされていたことが特徴です。それは、斉彬の人々に豊かな暮らしを保証することが最も大切という考えを反映したものであり、ガラス・紡績などの民需産業育成、出版・ガス・教育・医療福祉事業など社会基盤の整備にも力が注れました。
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桜島を借景にした壮大な大名庭園「仙巌園」
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今ものこる御殿は大河ドラマ「西郷どん」のロケでも多用された


現在も残る反射炉跡は、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産となっており、海防の危機感から大砲製造のため国内各地に建設されたうち現存する3基の一つです。
オランダ陸軍ヒュゲニン少将の鉄製大砲鋳造のための書物「ルイク国立鋳造所における鋳造法」を片手に、外国人技術者の指導なしに自力で建造したというもので、西洋技術を取り入れるための試行錯誤の過程を物語るものとして貴重です。
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反射炉の跡
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炉基礎の石垣は河川堤防や橋で多用されてきた技術が生かされている


慶応元年(1865年)に竣工した、日本最古の石造洋式機械工場「旧集成館機械工場」。世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産となっています。
この建物は、島津家の歴史や近代化の取り組みについて解説する博物館として公開されています。
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国の重要文化財でもある
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反射炉と薩摩切子、紡績工場で使われたフライホイール(弾み車)からなるシンボル展示が印象的


サツマイモは、蒸すと雑菌が付きやすく、焼酎造りには不向きな作物であり、サツマイモ伝来後も薩摩では米焼酎が飲み続けられていました。
「集成館事業」では、火縄に代わって衝撃で爆発する雷管を点火に用いる雷管銃を製造しましたが、雷管の製造に必要なアルコールを焼酎から抽出させるために、斉彬はイモ焼酎の量産を命じました。
その際に斉彬は、製法を改良し美味しく飲めるようにせよとも命じたのです。今日、薩摩の特産品となっているイモ焼酎のブームは、斉彬を祖としていると言えます。
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売店の焼酎コーナーではそんな逸話が紹介されている

このほか、集成館事業の動力として用いた用水の取水口(=関吉の疎水溝)や、炭窯(=寺山炭窯跡)なども、世界遺産の構成資産となっていて、「仙巌園」から離れた場所にあります。
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関吉の疎水溝
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寺山炭窯跡

また、島津家の菩提寺である福昌寺があった場所には、島津家歴代当主の墓所があります。ほとんど知られていない史跡ですが、私としてはイチオシの場所です。
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日本の産業革命が島津斉彬の集成館事業によってスタートすると同時に、斉彬が北方防備の必要性を説いたことから、薩摩藩内では北海道開拓の必要性が認識・熟成されます。
明治時代になって、1869(明治2)年に開拓使が設置され、明治政府によって北海道開拓が推進されます。その主体は、黒田清隆を筆頭とする旧薩摩藩士であり、島津斉彬の遺志を継いだものでした。
《炭鉄港》のルーツは、世界遺産「明治日本の産業革命遺産」と同じ、薩摩にあるのです。

●島津家別邸「仙巌園」 → こちら
●尚古集成館 → こちら
●鹿児島市/世界遺産「明治日本の産業革命遺産」 → こちら

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この記事に対するコメント


ものすごく興味をそそられる内容でした。いつになるか分かりませんが、是非とも、訪ねてみたいです。それからりじちょうのおはなし、凄く興味があります。これからね楽しみにしています。

【2018/11/18 20:02】
URL | 大夕張の生き残り #- [ 編集 ]


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